従来の高齢者介護は親族で対応する家族間の問題とされていましたが、現在では社会全体が取り組む課題という認識が広まっています。
様々な形態の介護施設が各地で運営され、中でも老人ホームは日本において歴史が長い高齢者施設です。
その一方で老人ホームの運営内容は意外と知られていません。高齢者介護を正しく理解するためにも、ホーム内での生活や介護サービスの詳細について学びましょう。
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老人ホームの定義や運営方針
老人ホームは一般的には要介護の高齢者を対象とした入居型の介護施設を意味します。従来の老人ホームは複数の高齢者が共同で暮らす入居施設でしたが、現在は自立した生活を営むことが困難とされる要介護の高齢者へのケアを目的とした介護施設を老人ホームと称しています。
現在の老人ホームは大別すると有料老人ホームと老人福祉施設があり、それぞれの運営方針や介護サービスの内容に違いがあります。有料老人ホームは食事や介護、健康管理などのサービスを提供している高齢者入居施設です。
介護付き老人ホームは都道府県から介護保険制度上の指定を受けている施設であり、要介護認定を受けた高齢者が暮らすのにもっとも適しています。老人ホームは高齢者施設ですがそのすべてが要介護者向けとは限りません。
要介護の高齢者へのケアを目的とした老人福祉施設とは運営方針の方向性が異なり、あくまでも一定年齢を超えた人を対象にした施設です。中には住宅型老人ホームのように、要介護認定を受けていない高齢者を対象にした施設もあります。
要介護者を対象にしたサービスを利用するには入居費とは別に料金を支払うことになります。また、施設によっては要介護の状態になったら退居を要求されることもあるので、入居の際には注意しなければいけません。
老人ホームで暮らすメリットの詳細
老人ホームはいくつもの種類がありますが、いずれの施設も複数人の高齢者が共同生活を営む共通点があります。
入居者同士の交流を目的としたレクリエーションを行うのも老人ホームの特徴のひとつであり、場合によっては在宅ケアよりも質の高い生活を営むことが可能です。
老人ホームでの生活は一日のスケジュールが細かく設定されていますが、これは体調を良好に保つと共に不具合への対処を迅速に行う目的があります。規則正しい暮らしを営むことで新陳代謝が活性化され、健康状態の改善を期待することができます。
また、他の入居者と接することで適度な刺激を受け、開放的な気持ちになります。高齢者は加齢による体力の低下で他者と接することが億劫になってしまい、自宅に引きこもりがちになることも珍しくありません。家族以外の人とまったく接しないことが多くなり、心身の不調に陥るおそれもあります。
その点、老人ホームでの生活では毎日必ず他人と接する時間があるので孤立する心配がありません。特にレクリエーションの時間では複数の入居者同士で共同作業を行うこともあるので、他者への気配りなど協調性を保つことができます。
他者との触れ合いは精神的な刺激をもたらし、高齢者に多く見られる認知症の発症を防ぐ効果が期待されています。老人ホームに入居する高齢者の多くが若々しい感じを保っているのは、刺激に満ちた質の高い暮らしを営んでいるのが理由と言っても過言ではありません。
外出イベントを行う目的と安全管理に関する注意点
多くの老人ホームでは入居者の気分転換を目的とした外出イベントを行っています。自力での移動が困難な高齢者でも車椅子に座ることができれば、車両による送迎で外出させるのが普通です。屋外に出ることによって見る景色が変わり、日差しや風の流れを体で感じることが程良い刺激になるのです。
高齢者が体調不良に陥るのは毎日の暮らしが単調になるのが理由のひとつとされています。老人ホームは入居者同士の触れ合いを重視した運営を行っていますが、それでも毎日を同じ施設内で過ごすのは停滞した感じをもたらすので決して良いこととは言えません。
外出イベントは単調になりやすい施設での暮らしにアクセントをもたらすのに不可欠です。外出イベントでは高齢者の安全管理が何よりも重視されます。万が一の事態に見舞われた場合、施設の高齢者が今後の外出を嫌がるかもしれません。
そのような事態を避けるためにも、外出先では些細な事故も起きないように細心の注意を払う必要があります。多くの老人ホームでは施設職員が外出イベントを管理して高齢者を見守っていますが、人手不足などの理由から外部業者に委託する所もあります。
高齢者介護の専門知識を持つ業者への委託は正当な行為ですが、その一方で老人ホームの運営方針を完全に共有してはいないので、細かい注意点が伝わっていないこともあります。その些細な認識のズレが外出先の安全に関わるトラブルに至る可能性があることから、委託業者は慎重に選ばなければいけません。
老人ホームが行う外出イベントの詳細
老人ホームが入居者を対象にして行う外出イベントは軽度の散歩から観光スポット巡り、小売店での買い物など様々です。
いずれの場合も外出先での適度な刺激で入居する高齢者の気分転換を図るのが目的となっています。外出イベントへの参加費は基本的には老人ホームの入居費に含まれていますが、別途請求する所もあります。また、買い物については支払い用の現金を用意する必要があるのでその点も注意しなければいけません、高齢者自身の要望や体調不良などの理由で外出イベントに参加できないこともありますが、そのような場合における返金の有無についても老人ホームによって対処が異なります。
トラブルを避けるためにも、金銭に関する取り決めは十分に確認しておくのが親族の務めです。
老人ホームでの看取りに関する問題点
老人ホームは基本的に健康状態が良好な高齢者が暮らすための施設です。要介護者を受け入れているホームでも病気を患った場合、完治するまでは病院で過ごすことになります。
また、著しい体調不良からの臨終についても同様であり、一般的な老人ホームでは入居者の看取りは行っていません。看取り専門の介護職員がいる老人ホームもあるので、どうしても住み慣れた老人ホームで最期を迎えたいという要望を受け入れるのは決して不可能ではありません。
しかし看取りは医療に深く関わる事柄なので、本来なら病院など医師が常駐している施設で行います。老人ホームでの看取りは一般的なことではなく、制約が多いことを忘れてはいけません。